消防の全国組織設立を希望

 津波や土砂崩れを伴う大地震、広い地域に床上浸水や地すべりをもたらす台風といった大規模な天災をうけて、自衛隊が出動し、人名救助や行方不明者の捜索、復旧作業に活躍する事例は特に近年になって国民の間で好感をもって理解されていると感じる。

 こうした災害対応は自衛隊法に基づいた災害派遣であり、別の面から見ると地方自治体が管轄する消防組織の設備や人員では大規模な天災に対応しきれないことを意味している。もっともこれは日本に限ったことではなく、世界各国どこでも国内の災害対応のために軍隊を動員している。軍隊の本来の使命はあくまでも国外からの軍事的危機に対する防衛ではあるが、平時には一種の余剰人員、遊休設備になっているので、これを国内向けに有効転用しない手は無く、極めて自然な成り行きだろう。(消防も決して全員が毎日出動するわけではないが、あくまで大規模な災害対応を想定した場合にはそう考えられる。それに災害時を狙って国外勢力が侵入を図ることも国防としては想定しなければならない。)

 

 それにしても日本の経済レベルや人口、国土面積からすると、消防組織は設備も人員も更に強化できないのであろうか。

 消防行政の「組織」としては都道府県や市区町村といった地方自治体単位で独立しているようだが、広域の災害対応ともなれば全国を管轄する組織で常に動員できる体制を抱えていても国民から大きな不満は起きないのではないかと思えるし、「設備」の面では、大型のトラックやヘリコプター、V-22オスプレイ、病院船ぐらい保有していても不釣り合いではないと考える。「人員」の面では現時点でも慢性的な欠員状況(人口構造の変化等が消防救急体制に与える影響及び対応 - 消防庁 H.30)になっているそうで、育成も含めて継続的に働きかけてゆくしかなさそうだが、待遇や職場環境も含めて強化措置はありそうだ。

 

 また、消防庁や警視庁といった旧・内務省の組織は戦後のGHQによって軍国主義に加担した組織とされている(内務省は解体された)経緯から、国政の左派勢力からは消防組織の強化というのは内務省復活すなわち軍国主義化を意味するとされて推進が難しかったはずだったが、昨今は左派勢力も流石に国民の意識を読み取っているのではないだろうか。

 

 現行の消防組織でも海外の災害対応の際には国際消防救助隊や国際緊急援助隊を緊急に派遣することはできているので、これを基礎に国内向けの全国組織も設立することは可能に思える。地方自治体の組織から再編成する形ででも実現できないだろうか。