工具箱の中身

 これから一人暮らしや新婚生活といった新生活をはじめるにあたって、新たに揃えるべき日用品のひとつとして家庭用の『工具箱』を考えておられる方も多いことでしょう。

 ここではひとつの参考としてわたくしのまとめを紹介させていただきたいと思いますので、よろしければお付き合いください。

 

 ただ、あらためて前置きしておきますが、あくまでも家庭用として新たに揃える方を想定した話となっています。「工具」には非常に種類が多く、その用途・場面別に専門的なものが多種多様に(値段別にも)用意されているため、万人向けの紹介というものが難しいという現実があります。ちょっと思いつくままに挙げてみても自動車整備用、自転車用、木工家具作り用、電子工作用、プラモデル用、配線工事用、台所やトイレの水回り修理用、内装工事用などが考えられるため、一般人が最初に買い揃えたい家庭用基本セットの一例として御覧願います。

 また、工具を購入したからといって構造を十分に理解しないまま蛇口やトイレの水洗機構、ドアノブ、パソコンなどの修理を試みることは止めておくのが無難です。分解したものの修理ができず、元にも戻せなくなるくらいならば、最初から専門業者を呼ぶ方が安全かつ安心です。

 

 

ドライバー(ネジまわし)

 プラスとマイナスで大きさの違うものがそれぞれ最低3種類ほど必要でしょう。例えば大きなネジに小さなドライバーを当てて回すと、ネジ山が崩れる(ネジをなめる)ことになって緩めることも締めることもできなくなってしまいますので、使用の際に注意しなければなりません。

 また、軸の短いものは回しやすいのですが、機械の奥にあるネジには届かなくなることがあるので覚えておきましょう。

 

巻き尺

 金属製のストッパー機能付きメジャー(コンベックスケール)。家財や収納、部材などの大きさを図れるような、3メートルくらいあるものが使い易いのではないかと思います。

 

モンキーレンチ

 六角形のナットやボルトを緩めたり締めたりするレンチの中でも、大きさの調整ができるようになっているもの。これも上記のドライバーと同じく、大きさを調整する際には隙間のないようにして、ナットやボルトの角を潰さないように注意します。

 

鋸(のこぎり)

 これは木材用で折り込み式のものと、金属用のものを1本ずつ用意しておけば十分でしょう。

 

ペンチ

 部品などを掴んだり、細いハリガネや電線などを切断したりする場面で使います。

 先の細くなっているラジオペンチや掴むことに強いプライヤー、切断に特化したニッパーなどがありますが、通常のペンチだけで事足りるものと思います。

 

電池チェッカー

 乾電池の容量が残っているかを確認する道具です。テスターのような高機能なものでなくとも、残量だけを簡単に診ることのできる安価なもので十分ではないかと思います。

 例えばラジオが聞こえない、懐中電灯が点かないといった場合には、先ず電池切れなのか機械の故障なのかを疑うことになるため、持っていて損はありません。

 

ハンマー

 釘を打つ場合の他にも、曲がった金属部品を叩いて直そうという場合や不要な釘を抜きたい場合にも使用できます。

 片方で釘を打ち、もう片方で釘を抜くという形状のものが家庭用のものとしては便利ではないかと思います。他に、片方が平面、もう片方がゆるい球面になっている形状のもの(玄能、玄翁)などもあります。あまり大きく重いものは使い難いので、ちょっと小さいと感じるくらいのものでも良さそうです。

 

錐(きり)

 釘やネジを打つ前には、位置がずれるのを防ぐのと直角に入りやすくするため、先に錐で少し穴を開けておくと便利です。

 

彫刻刀セット

 大きなノミは使わなくとも、木材をほんの少しだけ切ったり原因不明の汚れを思い切って削ったりという場面では安価な彫刻刀で対応できることがあります。

 

工具箱

 箱そのものは上記のものがすべて収納できる大きさ(特に長さ)があり、間仕切りなどで小物が取り出し易くなっているものが選定条件になります。

 ただし内容物はおいおい買い足して増えることが多いため、大きさには十分な余裕があることと、重くなっても持ち手が耐えられるような材質と構造であることに注意しましょう。

 そして一年に一度は内容物の点検をして、錆びたり固まったり、不要になったものを整理すると良いでしょう。5月9日が日本記念日協会に登録された「工具の日」になっているそうですので、この日を目安にしても良いと思います。

 

 

 

 以上で10点の「工具」を紹介いたしました。一般家庭で必要となる場面を想像した限りでは、必要なものはこれでほぼ網羅できたと考えています。しかし工具そのものではないけれど付言した方が親切と思われる事項がありましたので、蛇足ながら以下に述べさせていただきます。工具とは意識しないで既に用意されていれば何ら問題ありませんが、念のため。

 

ネジと釘

 ドライバーとハンマーを初めて購入する際に、ついでにネジと釘も購入する方は多いと思われます。今後使用する場面でこれもあった方が安心です。長さや大きさの異なるものが詰め合わせて売られていますので、これが便利でしょう。

 必要に迫られた時に適切な大きさ・長さのものを必要数だけ買うという考えももちろん間違いではありません。

 

小分け箱

 特にネジについては、大きさや長さの異なるものを取り扱うことがあり、加えて転がりやすいため、その種類別に小分けに置ける箱があると便利です。

 

接着剤

 文房具として別に用意してあるかもしれませんが、瞬間接着剤と多用途接着剤は工具箱にも保管しておくと便利だと思います。

 

ヘッドランプ

 家庭内での作業場所が天井の照明が当たらない暗がりになっている、あるいは機械の奥の方でよく見えないということがあり得ます。この時にヘッドランプや小型の懐中電灯があれば手元を照らすことができます。

 

軍手かゴム手袋

 作業そのものが困難にならない限りは、怪我や汚れの軽減・防止のため軍手(作業手袋)を着けるべきです。また電気の帯電・通電している作業時には、ゴム手袋を着けることがあります。

 

マルチツール

 ドライバーやプライヤー、鋸、ナイフ、ハサミなどが一体になったマルチツール(Victorinox社のアーミーナイフやLeatherman社の折畳み工具などが有名)を予備として机の引き出しに入れておけば、重い工具箱を持ち出すまでもなく必要な作業を済ませられることもあります。