献血の勧め

 ボランティア活動というと特定の組織に登録して参加するという形式が多いと考え、どうしても敷居が少し高いと感じられますが、『献血』については基本的に自分の都合の良い日に短時間で実行でき、かつその貢献は生命に関わることになるので非常に高いと目されることは多くの人に十分認識されているものと思います。是非一度心を決めて献血ルームや巡回バスを利用されてはいかがでしょうか? 8月21日が「献血の日」として定められているので、この日の前後に計画されるのもきっかけとして良いと思います。

 

 しかしながら同時にどうも足が向かないという人も多いのは事実でしょう。なにしろ注射針を刺されるので痛いということが一番大きな理由だと思います。また、頻繁に街頭で呼びかけをしているのでいざ受付に行ってみたら意外に混んでいたり、少しでも風邪気味などの体調不良ではできないと思ったりする方も多いでしょう。あとは、過去に一度受けようとして事前検査(ヘモグロビン濃度か血小板数)を受けたら規定値に達しなかったので、自分の体質として献血に向かないと判断している方もいるようです。他に少し変わった理由として私は学生時代の友人から「献血で得られた無料の血液の一部を使って薬を作り、儲けている会社があるというのがどうも気に入らない」という意見を聞いたことがあります。これについては血液製剤という重要な薬品が人間の血液以外からは製造できないということを再認識すれば是非のないことと言わざるを得ません。また、血液製剤が特別に高額だという話も聞いたことがありません。

 

 短時間で実行できると述べましたが、具体的な採血時間は(通常の)全血献血では10~15分、成分献血では採血量に依りますが40~90分程度です。その間はベットに添えられたテレビを見たり目を閉じて安んだりするだけなので、針の痛みにも慣れてしまいます。採血後には10分程度の休憩の指示があるので、全体の所要時間は全血献血で1時間、成分献血で2時間というのが個人的な見積もりです。

(本当に初めて献血をする場合には「献血カード」を作成するための手続きがあるので、もう10分くらいか。受付→事前質問票への回答と手続き→問診・血圧測定→ヘモグロビン濃度測定/血液型事前検査→採血→休憩→献血カード受け取り)

 

 献血をすれば、社会貢献をできたという少なからぬ「達成感」を得られる方もおられるでしょう。また、献血施設には献血の活用事例や赤十字活動の資料も置いてあるので、それらに目を通すと「社会勉強」になることもあるかもしれません。献血後、1週間から10日すれば健康診断で実施されるのと同等の血液検査結果が無料で郵送されてきますので、これは「健康管理」の面で有益でしょう。献血の前後で水分を摂ることを指示されるので、ジュース類は無料で飲むことができる上、採血後の休憩場所には自由に取れるお菓子やマンガや雑誌が用意されています。さらに案内受付から問診、採血に至るまで従事者の方は応接対応が非常に丁寧で不愉快な言動に会うこともありません。

 他に変わったメリットとして、採血をされると心身の快調を感じる人が時折おられる事例です。中世の欧米では瀉血(しゃけつ)と呼ばれる、患者の血液を排出させる処置が広く行われていたことを想起すると、一部の人には体内に溜まった不要物や有害物が血液と共に外部に排出される効果が生じることが本当にあるのかもしれません。

(ここでは献血に関わる注意点やデメリットについてはあまり述べませんでしたので、他の方の意見なども各人で調べられると良いでしょう。)

 

 ちなみに近年は若い人が献血を避ける傾向があるとの情報をよく聞きますが、地方都市も含めて献血ルームに入ると比較的若い人が多いように感じられます。これは推測ですが、献血ルーム以外の巡回バスによる集会所や企業での献血に応じているのが中年以降の協力者であって、こうした層が減少しているのではないかと思っています。

 

ともあれ献血は多くの人にとって容易に取り組めるボランティア活動と言えるでしょう。