学校で学習方法を学習させてはいかが

 義務教育で(例えば財産管理やプログラミングなど様々な)新たな教科を加えるべきという議論をときおり見聞きすることがありますが、もっと根本的なこととして、学習方法を学習させれば良いのではないかと以前から考えていました。教育進度に追いつけない生徒(いわゆる落ちこぼれ)を減らすという教育界での数十年来の重要課題に対する方策として、具体的な記憶術や集中法、速読術、重要語句の意味を理解するための豊富な比喩、同年代の生徒が躓きを解消した体験談などなどを副読本としてまとめて、教師が参考として随時紹介したり生徒自身で自習したりするようにすれば助かる生徒はある程度いると期待できないでしょうか?

 

 おそらく教育関係者はテクニックを教えるということに対して、浅薄で枝葉末節なこと見ていると想像しています。どこか特定の文房具や教材・機械の宣伝になることや、学習意欲の程度など他に根本原因がある、そもそもテクニックというのは大小非常に沢山あるため万人向けのものは無いなどといった点も考えているのかもしれません。また、教育現場では教師個々の裁量で語呂合わせや「テストで難しい問題で止まってしまったら、それを一旦保留にして先の問題を解き進めると良い」といったテクニックを教えることを禁止しているわけではないという実態も、ことさら学習方法について独立した教科として採り上げるような性質のものでは無いと見なされる理由になるかもしれません。

 

 学習方法の学習については、1件の学習項目毎に具体例を複数紹介することを原則として、学習塾を含めた教育現場の教師や教育心理学の専門家、現役の高校生や大学生などに依頼すればきっと面白いものもできることでしょう。この副読本は従来のような教科書検定からは除外して自由な内容とし、また当然のことながら、この学習方法に関するテストはしないということも重要と考えています。

 高校・大学受験や各種資格試験に関連する学習方法とテクニックについてはその重要度が十分に認知されており、多くの関連書籍が出版されていることを鑑みても、義務教育を受けている生徒にとっても有益になるとは思えないでしょうか?

 

 考慮したいのは「学校は知識やテクニックだけを教える場ではない」といった意見です。個人的にも非常に尊重したい意見です。しかし知識やテクニックの不足から躓いてしまうと、それ以外のことを学習したり経験したりする機会が失われやすいとも考えています。また、学校の勉強が楽しければ、その余裕で学生生活全体がより豊かになり易いはずです。