AirLand-Battleの日記

思い付きや素朴な疑問、常識の整理など、特段のテーマを決めずに書いております。

小さな不備やミスに対する「対応手順」を決めよう

 一般社会でも企業組織でも完璧な組織やシステムは存在しません。どんなに注意深く計画し、実行しても、小さな不備やミスは必ず発生します。ここで重要なのは。その不備やミスを見つけることのみならず、それらに対してどのように対応ー原因分析と再発防止ーするかです。

 

始皇帝の秦の崩壊に学ぶ、制度と現実のギャップ

古代中国、始皇帝が建国した秦は、わずか40年ほどで崩壊しました。その契機の一つとして、陳勝・呉広の乱(B.C.209)が挙げられます。陳勝・呉広の二人は国の命令で北方に赴任するために移動していたのですが、途中で大雨に遭ったために到着期日までにはどうやっても間に合わない状況になりました。その遅れることは当時の法で死刑とさだめられていたため、どうせ死ぬならば戦って死ぬことを選んだのでした。

秦国で長年かけて形成された厳格な法制度は、国内ではその遵守のための意識や手順が定着していたものと思われますが、統一された全国にその制度が一気に展開される中で、対応しきれず現実とのギャップが生まれたのです。現場の状況を考慮せず、過剰な責任を負わせる制度は、組織の崩壊を招きかねません。

 

現代日本企業の厳しいサービス基準と現場のストレス

現代の日本企業も、高度成長期から年月をかけて定着した厳しいサービス基準を持っています。かつてののんびりとした運営から育った世代とは異なり、若い社会人は、陳勝・呉広のようにいきなり厳しい管理体制に入るのですからは大きなストレスがあるでしょう。

 

書類上の回避という安易な解決策

厳しい管理水準に適合しない小さな不備やミスが発生すると、現場では書類上の回避、つまり誤魔化しという対応が起こりがちです。これは、現場担当者が追い詰められた結果、安易な解決策に走ってしまうためです。

本当にあるべき姿は、管理者が組織を挙げて必要な施策を策定・実施・定着することです。そしてそうした対応の責任は、ミスを見つけた現場担当者の責任ではなく、組織の管理者であるべきです。場合によっては大規模かつ長期的な対応が求められる(そうしないとそれこそ大問題になる)こともあるので、なおさらです。

 

相談・対応手順の具体化の必要性

年月をかけて厳格で詳細な制度や基準を策定し要求するのであれば、不備やミスが発生した場合の相談・対応手順も具体的に管理者が策定し、周知徹底する必要があります。これにより、現場担当者の逡巡や過剰な労働負担、対応の先送りを防ぐことができます。

 

マニュアル経営の重要性と現実的な対処

最近では批判されがちなマニュアル経営ですが、高度で徹底したマニュアル経営を実際に超越してから批判すべきです。大きな人身事故や不祥事が起きないためには、チェックを増やすのではなく、現実的な対処が組織的に実行される仕組み作りに留意すべきです。

より具体的に以下のような対応手順を定めるべきでしょう。

  • 報告体制の確立:  小さな不備やミスでも、速やかに上司や関係部署に報告できる体制を確立する。
  • 相談窓口の設置: 現場担当者が気軽に相談できる窓口を設置し、精神的な負担を軽減させる。
  • 原因分析と改善策の検討: 不備やミスの原因を分析し、再発防止のための改善策を検討する。また、そのための定期的な会議体や委員会を設置する。
  • 対応手順の具体化と共有: 不備やミスが発生した場合の具体的な対応手順をマニュアル化し、現場従業員に共有する。マニュアルも定期的に見直し改訂する。
  • 責任追及よりも改善を重視: 個人の責任追及よりも、組織全体の改善を重視する文化(心理的安全性)を醸成します。

 

 

小さな不備やミスは、組織にとって改善の機会と捉えることが重要です。適切な対応手順を定め、組織全体で共有することで、より強固で信頼性の高い組織を築くことができます。組織全体で小さな不備やミスに対応する体制を構築することが望まれます。

 

 

以上