女性ならば大抵ハンカチやスカーフを携帯しているものですが、「バンダナ」は持っていない人の方が多いのかもしれません。だいぶ古いファッション・アイテムとして首や頭に巻いたりするくらいしか活用例が無いと思われているのかもしれません。しかしハンカチよりも少し厚手で丈夫であり、手拭いやスカーフよりは小さいということからことから、覚えておけば日常生活で便利に使用できる場面はあるものです。
以下に10例だけですが、バンダナの活用方法を順不同でご紹介いたします。
(ア)バッグ・グリップとして
レジ袋やエコバッグを持つときに、荷物が重いと手指が痛くなります。こんな場合にバンダナで持ち手部分を包むようにすれば、痛みを大幅に軽減できるはずです。薄いハンカチ等では代わりにならないところです。
また、ヤカンや鍋などの熱い持ち手にも、十分にキッチン・ミトンの代用になります。
(イ)サイン
自動車のシートのヘッドレストや、キャンプ場のテント、旅行用トランクの持ち手につけている例を見たことがあるのではないでしょうか。同型の物が多く集まって区別がつかなくなる不安がある場合に安価で取り外しが用意なサインとして便利だということなのでしょう。
また映画「幸福の黄色いハンカチ」(1977)ではありませんが、家族で意味を決めておけば、家の軒先や窓辺などの外から見える場所に簡易的な目立つ旗として掲げることができます。また他には、バイク・ツーリングの愛好者の間では、ハンドル付近に黄色いバンダナをつけておくことを、「ヤエー」という挨拶の意味としているそうです。
(ウ)乳幼児向けの遊び道具
乳幼児向けの遊び方の本を少し探すと、ハンカチを使った方法が多く紹介されています。単純に顔を隠して「イナイ・イナイ・バァ」をする以外にも、揺らして見せたり、結んで簡単なネズミに見立てたりと知育の面からも有用な遊び方があります。
(エ)座席シート
野外のベンチやコンクリート、地面等に腰掛けなくてはならない場合、ハンカチを敷物として使う場合がありますが、ある程度汚れてしまうことも考えると、バンダナの方が好適でしょう。
(オ)ネック・ウォーマー
先にファッションとして首に巻くという例を挙げましたが、保温のために巻いて寝るという使い方です。小説家の司馬遼太郎(1923~1996)はエッセイ集『風塵抄』の中の「風邪ひき論」で、「ノドがかすかに痛いときなど、これを巻いて寝ると、翌朝必ずすっきりしている。」と述べています。個人に依って大きく効果に相違があるのはもちろんですが、面白い使用例でしょう。ただし、寝ている間に首が締まらないようにする点には厳重に注意してください。
(カ)虫除け
夏に肌の露出部へ虫除けスプレーを吹いて対策とする方は多いと思います。しかしもしもこの虫除け剤が肌に合わなかった場合には、バンダナに吹き付けて身に着けるという代替策があります。
同様のアイデアで香水を吹き付けることも考えられますが、これについては刺繍入りの綺麗なハンカチの方が良さそうですね。
(キ)マスク
昔の西部劇のマンガなどでは、悪者がしばしば口元を三角の布で隠していました。また、埃っぽい部屋に入ったときや防災訓練で、ハンカチを持っていればマスクとして口を押えるようにすることがあります。こうした簡易マスクとしてバンダナはハンカチよりも少し大判になっていることが多いので、鼻と口を押えるように巻くことができるはずです。
(ク)ファッション小物
首に巻く例は紹介しましたし、既に十分知られていますが、他にもハチマキのようにして手首やおでこに巻く、ベルトから無造作に下げる、犬の首に巻くといった使用例もあります。
(ケ)ランチョンマット
食事の際にお盆やランチョンマットが無い場合の代用として、バンダナを敷くことができます、また、高級レストランのテーブル・ナプキンには色々おしゃれな折り方があるので、ちょっと調べてバンダナでこれを真似て飾り物にもできるでしょう。
(コ)包装
最後は定番の使い方になりますが、風呂敷の代わりに色々なものを包むことに使えます。そもそも風呂敷(包装紙によるラッピング)には色々な手順があるため、先に包み方について勉強しておくと活用の幅が広がりそうです。
<以下、余録>
バンダナに限らず単純な1枚の布という道具は、風呂敷や手拭い、スカーフ、ストール、シュマーグなど用の東西を問わず便利に日常生活で使用してきたものです。バンダナについては、主にアメリカで軍隊やボーイスカウトの支給品になっていた時代があったために広く普及したと考えられます。
そもそも「バンダナ」の語源はヒンディー語の「絞り染め」を意味する「バンドゥヌ(bandhnu)」なのだそうで、そういえば今日でも一番目にするデザインはインド式のペイズリーになっている気がします。
以上