テレビやインターネットでのスポーツ観戦は、手軽で親しみやすい娯楽になっています。しかしそれにとどまらず、私たちの心身や社会に多岐にわたる恩恵をもたらす可能性があるように思えます。試合の興奮や感動、選手たちのひたむきな姿は、私たちの日常に活力と刺激を与え、様々な「副産物」を生み出すのです。
スポーツ観戦の「害悪」を乗り越えて
よく知られた「陰謀論」として、先の大戦後の日本の占領政策の中に「3S政策」というものがあり、SportsとScreen(映画)、Sex(性欲)の社会的露出を進めることで日本国民を愚民化するという話が永く囁かれていたくらい、スポーツ観戦については否定的な見方をする人も一部にはいます。
もちろん、スポーツ観戦には、過度な熱狂によるファンや選手の暴力行為や、選手への誹謗中傷、時間と金銭の浪費など、いくつかの「害悪」も指摘されています。しかし、これらの害悪(課題)は、視聴者・観戦者一人ひとりの意識改革や、社会全体の取り組みによって克服可能です。
そしてスポーツ観戦からの有益な「副産物」をより多く享受することも可能なはずです。それには、スポーツの価値をあらためて理解し、リスペクトの精神を持つ「意識」が重要です。また、スポーツ観戦を通じて、心身の健康を増進し、社会との繋がりを深め、学びと成長の機会を得るなど、積極的に活用する「姿勢」も大切になります。
1. 心身の健康増進:ストレス解消と活気ある生活
スポーツ観戦は、日々のストレスを解消し、心身のリフレッシュに繋がります。試合の展開に一喜一憂し、応援するチームや選手に声援を送ることで、感情が解放され、爽快感を得られるでしょう。また、スタジアムでの観戦は、適度な運動にもなり、健康増進効果も期待できます。
さらに、スポーツ観戦は、私たちの生活に活気を与えてくれます。選手たちのプレーや試合のドラマは、私たちに感動や興奮を与え、明日への活力となるでしょう。特に、応援するチームが勝利した時の高揚感は、日々のストレスを忘れさせてくれるほどの喜びをもたらします。
2. 社会との繋がり:連帯感とコミュニケーションの促進
スポーツ観戦は共通の話題として、地域や社会との繋がりを深める機会を提供します。同じチームを応援するファン同士は、年齢や職業、立場を超えて一体感を共有し、連帯感を育むことができます。スタジアムでの応援や、試合後の交流は、新たな人間関係を築くきっかけにもなるでしょう。
また、スポーツ観戦は、家族や友人とのコミュニケーションを促進する効果もあります。一緒に試合を観戦し、応援することで、共通の話題が生まれ、会話が弾むでしょう。
3. 教育的効果:学びと成長の機会
スポーツ観戦は、子どもたちにとって、スポーツの楽しさや素晴らしさを体験できる絶好の機会です。選手たちのプレーや試合の展開を見ることで、スポーツのルールや技術だけでなく、努力、忍耐、チームワークなど、多くのことを学ぶことができます。
また、スポーツ観戦は、子どもたちの健全な育成にも貢献します。目標に向かって努力する選手の姿や、困難に立ち向かうチームの姿は、子どもたちに夢や希望を与え、目標を持つことの大切さを教えてくれるでしょう。
大人にとっても、歴史的記録をつくるような選手個人と、複数の選手を活かすための組織という(失敗や課題、対策、成長、戦術・戦略などといった)マネジメントの実例を分かりやすく客観的に見る機会になります。「なぜうまくゆかないのか?」「どうしたら良かったのか?」などと思いを巡らすのは、立派なケース・スタディー(シミュレーション)になるでしょう。
4. 経済効果:地域活性化と雇用創出
スポーツイベントは、地域経済に大きな影響を与えます。スタジアム周辺の飲食店や土産物店は、多くの観客で賑わい、地域経済の活性化に貢献します。また、スポーツイベントの開催は、ホテルや交通機関の利用者を増やし、観光客の誘致にも繋がります。
さらに、スポーツ関連産業は、雇用創出にも貢献します。スポーツ用品メーカーやスポーツイベント運営会社などは、多くの雇用機会を生み出し、地域経済の発展に寄与するでしょう。
5. 文化の発展:スポーツ文化の醸成
スポーツは、文化として私たちの生活に深く根付いています。スポーツ観戦は、スポーツ文化を育み、発展させる上で重要な役割を果たします。スタジアムでの応援や、スポーツニュースの視聴は、スポーツ文化を共有し、次世代に継承する機会となります。選手の高貴なスポーツマンシップやチームの公正な運営、合理的かつ効果的な指導による成長、失敗からの成功へのサクセス・ストーリーなどについて、大いに不満に感じたり感動したりするのが良いと思います。
また、スポーツは、多様な文化や価値観を理解し、尊重する機会を提供します。国際的なスポーツイベントは、異文化交流を促進し、ときに国威発揚ともなり、相互理解を深める場ともなるでしょう。
スポーツ観戦は、私たちの生活を豊かにし、社会を活性化させる可能性を秘めています。スポーツ観戦を「害悪」にせず、深い理解を以って「副産物」が多くなるようにすれば、その恩恵を最大限に享受でき、より充実した人生を送る「糧」のひとつとなるでしょう。