AirLand-Battleの日記

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激辛好きのあなたへ注意!

 近年の激辛ブームは、湖池屋の「カラムーチョ」発売(1984年9月)をきっかけとして日本の食文化の中で普及・定着してきたと言われることがあります。消費者の嗜好が多様化し始めた時期に、エスニック料理も日本に浸透し始めたことから、辛い味付けへの抵抗感が薄れて、美味しさの新発見となっていったのかもしれません。また他に、ストレス解消や気分転換の手段としても、多くの疲れた人々に受け入れられる素地ができていた面もあると考えられます。

 今日では様々な激辛食品が市場に出回っていますので、あなたもその刺激的な魅力に取り憑かれている一人かもしれません。しかし、激辛食品の過剰摂取は、時に私たちの体に思わぬ悪影響を及ぼす可能性があります。この記事では、激辛食品の健康リスクと、上手な付き合い方について、分かりやすく解説したいと思います。

 

辛味は味覚ではなく痛覚?

 そもそも、私たちが「辛い」と感じる感覚は、味覚ではなく、痛覚や温度感覚に近いものです。舌にある味蕾は、甘味、塩味、酸味、苦味、旨味の「基本五味」を感知しますが、辛味成分(カプサイシンなど)は、痛覚や温度感覚の受容体を刺激し、脳に「熱い」「痛い」といった信号を送ります。つまり、激辛食品を食べることは、ある意味で痛みに耐えている状態とも言えるのです。

 

激辛食品の過剰摂取による健康リスク

 「甘いもの」の摂り過ぎに対しては、カロリーの過剰摂取による肥満とそれに関連したメタボリック・シンドロームの懸念があることは一般的に認知されていると思われます。また「塩っぱいもの」の摂り過ぎは、高血圧や胃がんなどを引き起こす危険があることも十分に知られています。さらに、「酸っぱいもの」の摂り過ぎは胃酸過多を、「苦いもの」の摂り過ぎは消化器系の不調や肝臓への負担を、「旨味」の摂り過ぎは高血圧のリスクを高めることがあるそうです。

 では、激辛食品の過剰摂取は、具体的にどのような健康リスクをもたらすのでしょうか? 短期的には喉の痛みや排便に影響があることは知られていても、あまり具体的な健康課題として採り上げられる機会は少ないように感じますので、ここで一度確認してみましょう。

  1. 消化器系のトラブル

    • 胃痛、腹痛、下痢、吐き気、嘔吐などの症状が現れることがあります。
    • 特に胃や腸が弱い人は、これらの症状が出やすい傾向にあります。腸内フローラの乱れを引き起こす可能性もあります。
    • 慢性的な胃炎や胃潰瘍、十二指腸潰瘍、食道ガンなどのリスクを高める可能性も指摘されています。
  2. 口腔内の炎症

    • 口の中や喉がヒリヒリと痛み、炎症を起こすことがあります。
    • ひどい場合には、口内炎や舌の炎症を引き起こす可能性もあります。
  3. 呼吸器系のトラブル

    • 咳や喘息が悪化することがあります。
    • 特に呼吸器系が弱い人は注意が必要です。
  4. 循環器系のトラブル

    • 発汗、動悸、血圧上昇などが起こることがあります。
    • 心臓に疾患のある方は注意が必要です。
  5. 味覚の変化

    • 極端な辛さに慣れてしまうと、味覚が鈍くなることがあります。
    • 常に強い刺激を求め、味の濃い物を好む傾向になることもあります。
  6. 依存性

    • カプサイシンには、脳内で快楽物質を分泌させる作用があり、依存性が生じる可能性があります。
    • 常に強い刺激を求めるようになり、より辛い物を摂取しないと満足できなくなることがあります。

 

 辛いものの過剰摂取による健康被害は、上記のように主に消化器系の不調や一部の依存症に限られ、その発生頻度は比較的低いと考えられます。そのため、甘いものや塩っぱいものの過剰摂取に比べると、どうしても社会全体として問題視される度合いが低くなっている可能性があり、健康面の悪影響についての意識も低くなってしまうのでしょう。

 ちなみに、2023年9月にアメリカで当時14歳の少年が世界一辛い唐辛子の一つとされるキャロライナ・リーパーなどを使ったチップスを食べ、数時間後に死亡したという記事がありました。これは極端な事例ですが、激辛も行き過ぎれば健康に悪いという点は改めて意識しておくべきです。

 

激辛食品と上手く付き合うには?

 これらのリスクを理解した上で、激辛食品と上手く付き合うためのポイントを紹介します。また、罰ゲームなどで嫌がる他人に激辛食品を強制することの危険性を認識しておくようにしてください。

  1. 適量を守る

    • 自分の体質や体調に合わせて、無理のない範囲で摂取しましょう。
    • 特に、胃腸の弱い方や高血圧の方は、少量から試すようにしましょう。
  2. 頻度に注意する

    • 毎日激辛食品を食べるようなことは避け、週に数回程度に留めましょう。
    • 食べた時に、体調に異変を感じたら、食べるのをやめましょう。
  3. 他の食材と組み合わせる

    • 辛味の刺激を和らげるために、ヨーグルトや牛乳などの乳製品、ご飯やパンなどの炭水化物、野菜や果物などを一緒に摂取しましょう。
    • 様々な味覚や栄養素をバランス良く摂取することが重要です。
  4. 水分補給をしっかりと

    • 辛いものを食べる際は、こまめに水分補給をしましょう。
    • 特に、水を飲むことで口の中をリフレッシュさせ、次の辛味への欲求を抑えることができます。
  5. ストレス管理をしっかりと

    • ストレス解消のために、激辛食品に頼るのはやめましょう。
    • 運動、趣味、リラックスできる音楽を聴くなど、自分に合った方法を見つけましょう。
  6. 体調に異変を感じたら医療機関へ

    • 激辛食品を食べた後に体調が悪くなった場合は、摂取を中止し、必要に応じて医療機関を受診してください。

 

 激辛食品は、適度に楽しむことで、食欲増進やストレス解消などの効果も期待できます。大切なのは、自分の体と向き合い、バランスの取れた食生活を送ることです。激辛食品と上手く付き合い、健康的な食生活を送りましょう。