新社会人の皆さん、入社おめでとうございます!社会人になると、学生時代とは異なり、日常生活や仕事の上での契約や手続きなどでハンコ(印鑑)を使う機会が増えてきます。しかし、「どんなハンコを選べばいいの?」「どうやって使い分けるの?」と正確な使い分けについて疑問に思っている方も多いのではないでしょうか。最近は使う場面が少なくなる傾向にあるといってもまだまだ出番の多いハンコについて、新社会人の皆さんが安心して社会生活をスタートできるよう、選び方から使い方、注意点を解説しますのでどうぞご覧ください。
1. ハンコの種類と役割を知ろう
ハンコには、主に「実印」と「銀行印」、「認印」の3種類があります。それぞれの役割を理解し、適切に使い分けましょう。
- 実印:
- 最も重要なハンコで、市区町村役場に『印鑑登録』をしたもので、本人確認の機能があります。
- 不動産取引、自動車購入、ローン契約など、重要な契約や手続きで使用します。
- 偽造防止のため、複雑な書体や材質を選ぶことが推奨されます。
- 銀行印:
- 金融機関に登録するハンコです。
- 銀行口座の開設、預金の引き出し、ローン契約など、金融機関との取引で使用します。
- 実印とは別に作成し、区別して管理することが推奨されます。
- 認印:
- 日常的な書類の確認や受け取り、社内文書などに使用するハンコです。
- 実印や銀行印に比べて使用頻度が高いため、丈夫な材質を選ぶと良いでしょう。
- 実印や銀行印に比べて、重要度は低くなるので、いわゆる三文判(既製品の安価な印鑑)でも大きな問題はないでしょう。
なお、「シャチハタ」は押印・捺印として認められないことがあるので、ご注意ください。 シャチハタは大量生産が可能な「インク浸透印」であることから、同一の印影が多数存在することと、印面がゴムでできているために、長期間の使用や保管状況によっては、印影が変形したり劣化したりする可能性があることから、同一性の確認が困難になる懸念があり、しばしば不適格と判断されます。
それでも、宅配便の受け取りや日常的な(重要性の低い)書類や回覧板などについては、シャチハタは便利に使用できるため、上の3種類のハンコとは別に入手しても良いでしょう。
2. ハンコの選び方
用途に合わせたハンコの種類を覚えたら、次は素材、サイズ、書体、そしてあなたの予算を元に選びましょう。
また、朱肉と捺印マットも高いものではないので、同時に入手しておきましょう。朱肉については、印鑑ケースに小さい朱肉がついていることが多いのですが、やや使い難いのです。
- 素材:
- 耐久性、価格、見た目を考慮して選びましょう。
- おすすめの素材:チタン、黒水牛、柘(つげ)
- サイズ:
- 実印:男性は15~18mm、女性は13.5~16.5mmが一般的です。
- 銀行印:実印より一回り小さいサイズがおすすめです。
- 認印:10.5~12mm程度のサイズが一般的です。
- 書体:
- 実印と銀行印:偽造防止のため、篆書体や印相体など、複雑な書体がおすすめです。
- 認印:可読性の高い書体(古印体、隷書体、楷書体、行書体)が一般的です。
3. ハンコを使う際の注意点
- 実印と銀行印は慎重に管理する:
- 紛失や盗難を防ぐため、金庫などで厳重に保管しましょう。
- 安易に他人に預けないようにしましょう。
- 認印でも重要な書類には注意する:
- 認印は日常的に使用しますが、重要な書類には安易に押印しないようにしましょう。
- 捨て印は極力避ける:
- 軽微な誤字脱字などで書類の修正が発生した場合に、再度押印をもらう手間を省くために、契約書の空欄などに捨て印をお願いされることがあります。
- 捨て印は悪用されるリスクがあるため、極力避けましょう。
- 修正が必要な場合は、当事者間で協議し、改めて訂正印を押すようにしましょう。
- 印鑑登録を忘れずに行う:
- 実印を作成したら、市区町村役場で『印鑑登録』を行いましょう。
- 印鑑証明書が必要な場合がある:
- 実印を使用する際には、(本人確認の意味で)『印鑑証明書』が必要になる場合があります。
- 『印鑑登録』を行った市区町村役場にて発行してもらいましょう。
4. 押印と捺印の違い
ハンコを突くことを押印(おういん)と呼んだり、捺印(なついん)と呼んだりしますが、これには以下のような相違がありますので参考までに覚えておくと良いでしょう。
- 押印:
- 記名(印刷された氏名など)の横にハンコを押すこと。
- 比較的軽微な書類で使用します。
- 捺印:
- 署名(自筆の氏名)の横にハンコを押すこと。
- 重要な契約書や公的な書類で使用します。
ついでに、印章と印鑑、印影のそれぞれの意味は以下のようになっていますので、頭の片隅にでも置いてください。
- 印章:ハンコそのもの。
- 印鑑:印章を押した跡、または、印章そのものを示す。
- 印影:印章を押した跡。
5. ハンコを1本で済ませることの危険性
実印と銀行印、認印を1本で済ませると、紛失・盗難時のリスクや偽造・悪用のリスクが高まります。また、法的リスクや管理上の不都合も生じる可能性があります。必ず用途に合わせてハンコを作成し、別々に管理しましょう。
6. 会社で使うハンコ
会社(法人)の正式な契約書などでは、主に丸印と角印を使用します。
- 丸印(代表者印・会社実印):
- 会社の代表者を表すハンコで、法務局に『印鑑登録』をしたものです。
- 重要な契約や取引、登記申請などに使用します。
- 角印(社印):
- 会社の認印として使用するハンコです。
- 請求書、領収書、見積書、社内文書などに使用します。
ハンコは、現代では古い習慣とされることもありますが、まだまだ社会生活において重要な役割を果たします。それぞれのハンコの役割と重要性を理解し、適切に使い分け、大切に保管しましょう。新社会人の皆さんが、この記事を参考に、安心して社会生活をスタートできることを願っています。