近年の国政選挙や地方選挙で、誰に投票すべきか悩むことはありませんか? そもそも日本人のほぼ過半数は無党派であるため、こうした人は投票に行かないのでしょう。もしも行こうと考えても情報が溢れる中で、本当に私たちの代表となるべき人を見極めるのは、なかなか難しいものです。
先日、投票先の選択基準について考える中で、ふと「候補者の情報をもっと公式に、そして分かりやすく開示する仕組みがあれば、私たちはもっと納得して一票を投じられるのではないか?」という考えに至りました。街頭の選挙ポスターと各戸に投函される選挙公報、そして名前を連呼しているだけの街頭演説では、なかなか選択基準が分からないものです。
そこで今回は、より良い投票判断のために、現在の立候補要件としての公式の情報開示はどうだろうか?というアイデアをまとめた「立候補要件アイデア 」を皆さんと共有したいと思います。これはあくまで提案であり、実現には様々な議論が必要となるでしょう。しかし、より良い民主主義のために、こんな情報開示があっても良いのではないか?という視点で、ぜひ読み進めてみてください。
候補者の「能力・知識・経験」をもっと知るために
私たちの代表となる人には、一定以上の能力や知識、経験が求められるのではないでしょうか。そこで、こんな情報の開示があっても良いかもしれません。
- 学歴や職務経験: どのような教育を受け、どのような仕事に携わってきたのかは、その人の考え方や問題解決能力に影響を与える可能性があります。(学歴詐称はもちろん論外ですね。)
- 議員秘書・インターンシップ経験: 議員の活動を間近で見てきた経験は、政治実務を理解する上で役立つかもしれません。また、即戦力となる可能性を示唆するかもしれません。
- 地域社会や国際的な経験: 多様な視点を持つことは、複雑化する現代社会において重要です。
- 語学力や情報リテラシー、科学技術に関する知識: グローバル化やデジタル化が進む現代において、これらの能力はますます重要になっています。
- 特定の分野の経験: 中小企業経営、一次産業、福祉・介護、教育、ジャーナリズムなど、特定の分野での経験は、その分野の現場の問題理解を元に課題解決に活かせる可能性があります。
- 政策シンクタンクでの研究経験: 専門的な知識に基づいた「政策提言」に期待できるかもしれません。
- 健康状態: 国民や地域を代表する職務を遂行する上で、健康状態は重要な要素です(プライバシーへの配慮は当然のことながら必要です)。
候補者の「倫理・人格」を見極めるために
政治家には高い倫理観が求められます。過去の行いや社会的な信頼性に関する情報開示も重要と考えられます。
- 過去の犯罪歴、破産歴、公職追放歴: これらの情報は、候補者の適格性を判断する上で重要な要素となります(一定期間経過後の情報は考慮する必要があるかもしれません)。
- 倫理審査委員会の承認: 第三者機関による評価は、客観的な判断材料となり得ます。
- ハラスメント行為の有無: 人権意識の高さを示す重要な指標です。
- 家族・親族の犯罪歴: 社会的な影響力を考慮する上で、一定の範囲で情報開示があっても良いかもしれません。
- SNS等での不適切発言: 公の場での発言は、その人の価値観や社会的責任や品格を示すものです。
- 精神鑑定: 特に責任の重い役職を目指す候補者については、メンタルヘルスの状態も考慮されるべきかもしれません(もちろんプライバシーへの配慮は不可欠です)。
候補者と「国民との繋がり・代表性」を知るために
候補者がどれだけ国民の声に耳を傾け、多様な意見を代表しようとしているのかを知ることも重要です。
- 推薦署名数: 一定数の有権者からの支持は、立候補の信頼性の証左になりえるでしょう。
- 居住年数: 地域に根ざした活動を行ってきたかを示す指標となるかもしれません。もちろんいわゆる「落下傘候補」であっても、決してダメというわけでありません。
- ボランティア活動への参加経験: 社会貢献への意識を示すものです。
- 地域住民との対話実績: どれだけ地域住民の声に耳を傾けているかを示す指標となります。
- インターネットを活用した情報発信能力: 情報公開の頻度や透明性を高め、有権者との双方向コミュニケーションを可能にします。
- 公刊された著作: 候補者の考えや専門知識を知る上で貴重な情報源となります。
- 二重国籍の有無と選択: 国籍に関する情報は、忠誠心や対外工作に関わる重要な要素です。
- 褒賞歴: 社会的な功績や評価を示すものです。(ノーベル賞、文化勲章、警視総監賞、芥川賞、外国からの叙勲など。)
- 過去の議員・公職経験: 経験に基づく判断力や政策立案能力を推測する材料となります。
- 基本原則に関する見解: 憲法、死刑、防衛、外交、経済、福祉、規制、皇室など、国の根幹に関わる問題に対する基本的な考え方を知ることは、投票判断の重要な判断材料となります。
- 現役議員の議会活動詳細: 出席状況、質問回数、所属委員会などは、議員としての活動実績を示す具体的なデータです。
- 趣味・特技: 候補者の人間性を知る一助となるかもしれません。
- 主たる「守備範囲」: 候補者が特に注力する政策分野を知ることができます。教育もゴミ問題も災害対策も何もかも全部という人はかえって信用できませんね。
- 3親等以内の親族の議員在籍状況: 政治家の「家業化」や「世襲議員の増加」を懸念する声もあります。 (まぁ、逆に「あの方のお子さんなら」と信頼するという人も多いですね。)
現職議員の「実績」を評価するために
現職議員が再立候補する場合、過去の公約達成度や議会活動に関する情報公開は不可欠です。
- 直近の重要法案・争点に関する見解と投票行動: どのような判断基準で法案に投票したのか、その賛否理由を知ることは重要です。
- 公約達成度の自己評価と第三者機関による評価: 前回の選挙で掲げた公約がどれだけ実現されたのかを客観的に評価する仕組みが必要です。
- 議会活動への参加状況の詳細: 出席/欠席率だけでなく、具体的な質疑内容や委員会での活動内容を知ることで、議員としての貢献度を評価できます。
- 供託金の額: 選挙の濫立防止と、真剣な立候補者の機会確保のバランスを考慮する必要があります。
こうした情報公開の「反作用」を考慮
これらの情報公開は、有権者にとって有益である一方で、現役候補者に比べて新人候補者にとっては情報不足になるため、どうしても不利になってしまう可能性が考えられます。そのため、以下のような対策も同時に講じる必要があるでしょう。 日本の風土として、「どこの馬の骨ともわからない」新参者は、基本的に歓迎されないという傾向があることを改めて認識しておかなければなりません。
- 新人候補者向けの政策発表の機会を積極的に設ける。
- ウェブサイトやSNSの活用支援を行う。
- 市民団体などによる新人候補者の紹介の機会を増やす。
- 過去の実績だけでなく、将来への展望や政策提案を重視する評価を促す。
より良い民主主義のために
今回提案した立候補要件は、あくまで「こんな情報があれば、もっと投票しやすくなるのではないか?」というアイデアです。実現には、法改正や制度設計など、多くの課題があるでしょう。
しかし、候補者の情報をより具体的かつ公平に入手することで、有権者はより深く候補者を理解し、納得のいく一票を投じることができるはずです。それは、より成熟した民主主義社会の実現に繋がるのではないでしょうか。皆さんは、これらのアイデアについてどう思われますか?ぜひ、コメント欄で皆さんのご意見をお聞かせください。