AirLand-Battleの日記

思い付きや素朴な疑問、常識の整理など、特段のテーマを決めずに書いております。

気功法の「気」の理解のために 【素人の仮説】

 気功法は、中国で数千年の歴史を持つとされる心身鍛錬法です。その根幹にある「気」という概念は、生命エネルギーや身体の機能、精神活動など、非常に広範な意味合いを持っています。東洋医学においても、この「気」は健康の維持や病気の治療における重要な要素と考えられてきました。

 気功の実践者は、呼吸法や動作、意識の集中などを通して、この「気」を体内で巡らせ、活性化させることを目指します。その結果として、心身のリラックス、体調の改善、自然治癒力の向上などが期待されています。

 

 気功法ではなくても、針きゅう治療の理論的基礎には「気」の実在とその作用が想定されたものになっています。現在の大相撲の力士やアスリートが負傷・故障で通っているという事実を踏まえると、この鍼きゅう治療については一定の治療効果が認められ、社会的に認知されていることは事実であって、「気」について存在を否定したり無視することはできないと考えています。

 

「気」を巡る科学的な探求

 20世紀後半、中国では気功ブームが起こり、「気」の科学的な解明を試みる研究が盛んに行われました。その中で、気功師が意図的に放出するとされる「外気」と呼ばれるものについて、様々な物理現象との関連が報告されました。例えば、遠赤外線(温熱効果のある電磁波)、低周波(1~20ヘルツの振動)、超微粒子、β線(放射線の一種)、そして微弱な電磁気の検出などが報告されています。

 これらの研究は、「気」が単なる精神的な概念ではなく、何らかの物理的な実体を伴う可能性を示唆するものとして、一部で注目を集めました。しかし、これらの研究結果については、再現性の問題や実験の厳密性など、科学的な検証が必要であるという指摘も多くあります。

 考えてみれば、気功師の代わりに機械が遠赤外線を当てても、気功治療と同じ効果が得られるものではないことも明白で、まだまだ「気」の存在を明示することはできないのは現実でしょう。

 

遠赤外線が人体から発せられている事実

 この冬に販売されていた上着の中で、裏地に蓄熱性のある「銀色」のアルミニウム素材を張って、肌から発する「遠赤外線」を反射して衣服内に蓄える熱反射保温機能を有している商品を見ることがありました。人の身体はある意味で「光っている」ということを示す証左であり、ちょっとした驚きを感じました。

 もちろんこの上着の製造元は「気」という言葉こそ使っていませんでした。しかし「気」の存在(というか遠赤外線の放射)を現実に支持されているように受け止めることができました。

 

超微粒子が人体から発せられている事実

 「超微粒子」というと何か特殊な物質を想像してしまうかもしれませんが、人間の肌からは常に発汗などによって「微粒子」が放出されているのは事実です。

 これが気功治療や健康鍛錬として何らかの効果を持つのか否かという点については疑問の残るところですが、見えないつながりを作るという、何らかの伝達機能を構築することはできそうに思えます。

 

バイオフォトンが人体から発せられている事実

 「バイオフォトン」(Biophoton)とは、細胞呼吸(酸化還元反応)やエネルギー代謝といった生命活動に伴って放出される、光電子倍増管などの超高感度の検出器でしか確認できない、きわめて微弱な光のことです。

 微弱とはいえ、これも遠赤外線と同様に生きている限り人間は光っている、放射していることを示すものです。

 

太陽光との対比:一つの「仮説」

 ここで、太陽光という身近な存在と「気」を対比してみましょう。

私たちは太陽の光を感じることができます。その暖かさ(熱線、主に赤外線)、日焼けの原因となる紫外線、そして目に見える可視光線など、太陽光は様々な種類の電磁波を含んでいます。さらに、微量ながらX線や放射線といったエネルギーの高い粒子も放出しています。

 これらの様々な要素を総合して、私たちは「太陽光」と認識しています。個々の要素は異なる性質を持ちますが、「太陽」という源から発せられるエネルギーの多様な現れとして、まとめて理解されています。

 この太陽光の例を参考に、「気」についても同様の仮説を立てることはできないでしょうか? つまり、「気」とは、単一のエネルギーや物質ではなく、人体や生命体が発する様々な種類の微弱なエネルギーや情報を含む、複合的な現象であると考えるのです。過去の研究で報告された遠赤外線、低周波、超微粒子、β線、電磁気などは、その「気」が持つ多様な側面の一端を捉えたものかもしれません。

 人間の体は、常に代謝活動を行い、熱を放出し(遠赤外線)、微細な振動を生み出し(低周波の可能性)、発汗などによって微粒子を放出し、生体電流(電磁気)を流しています。これらの活動は、生命維持に不可欠なものであり、ある意味では「生きている証」とも言えます。

 気功法の実践を通して体感される「気」の感覚は、これらの微弱な生体活動の変化を、より繊細に感じ取る能力が鋭敏化した結果かもしれません。そして、「外気」と呼ばれるものは、これらの生体活動によって生み出される様々なエネルギーや情報が、周囲の環境に影響を与えた結果として捉えることができるかもしれません。

 

多様なエネルギーの複合体としての「気」

 もちろん、この仮説は現時点での一つの素人による考え方に過ぎず、「気」の全容を解明するには至っていません。しかし、捉えどころのない「気」を理解するための入り口として、私たちが日常的に接している太陽光という自然現象との類似性を考えることは、一つの有効なアプローチとなるのではないでしょうか。

 「気」は、目に見えないけれど、生命活動に伴って常に生み出されている多様な微弱エネルギーや情報の複合体である。そして、気功法は、これらのエネルギーの流れを調整し、活性化させるための技術である。

 この仮説を念頭に置くことで、これまで曖昧に感じられていた「気」の概念が、少しでも身近で理解しやすいものになることを願っています。今後の科学的な研究の進展によって、この仮説がより深掘りされ、「気」の謎が少しずつ解き明かされていくことを期待したいと思います。