AirLand-Battleの日記

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食べ物の好き嫌い、克服への道

 誰もが一つや二つ、苦手な食べ物を持っているのではないでしょうか。特に子供の頃は、好き嫌いが多かったという人もいるかもしれません。しかし、大人になるにつれて、いつの間にか食べられるようになっていた、なんて経験もあるでしょう。

 この記事では、あらためて食べ物の好き嫌いがどのようにして起こり、どのように変化していくのか、そして克服するためのヒントを、「食育」の観点も交えながらご紹介します。

 

好き嫌いはなぜ起こる?

 食べ物の好き嫌いは、味覚や嗅覚、食感、見た目、過去の食体験、心理的な要因など、様々な要因が複雑に絡み合って起こっていると考えられます。

  • 味覚・嗅覚の敏感さ: 子供の方が大人に比べて味蕾(みらい)の数が多く、味覚が敏感なのだそうです。特に苦味は、毒物を避けるための本能的な反応であると考えられています。そのため、野菜などの苦味や酸味を強く感じてしまい、嫌悪感を抱くことがあります。
  • 食感への違和感: 特定の食材の食感(ネバネバ、ブヨブヨ、ザラザラなど)に慣れていないと強烈に苦手に感じてしまう場合もあります。野菜の繊維質な食感や、肉の脂身などが嫌われることもあります。
  • 視覚的な要因: 食材の色や形、料理の見た目が苦手な場合もあります。緑色の野菜や、見た目がグロテスクな料理などを嫌うことがあります。
  • 過去の食体験: 過去に特定の食材や料理を食べて嫌な思いをした経験(吐き気、腹痛など)がトラウマとなり、嫌いになることがあります。無理やり食べさせられた経験も、嫌悪感を抱く原因となります。
  • 心理的な要因: 親や周囲の人が特定の食材や料理を嫌っているのを見て、影響を受けることがあります。偏食をすることで、親の関心を引こうとする場合もあります。
  • 調理方法や味付け: 同じ食材でも、調理方法や味付けによって好き嫌いが分かれることがあります。例えば、生野菜は嫌いでも、加熱した野菜は食べられるといったケースがあります。
  • 食材への知識不足: 食材に対する知識が少ないと、見た事の無い食材を警戒して食べない場合があります。いくら「栄養があるから」と言い聞かせても、子供にとってそれは積極的に食べる理由になりません。

 

成長とともに好き嫌いは変わる?

 子供の頃に嫌いだった食べ物が、大人になってから好きになることはよくあります。これは、成長とともに味覚が変化したり、食経験が増えたり、心理的な要因が変化したりするためです。

  • 味覚の変化: 成長するにつれて味蕾の数が減少し、味覚が変化することで、以前は苦手だった味を受け入れられるようになることがあります。
  • 食経験の増加: 様々な食材や料理を経験することで、味覚の幅が広がります。同じ食材でも、調理法や味付けによって味が変わることを学習し、食べられるものが増えることがあります。
  • 心理的な変化: 成長するにつれて、食への興味や関心が高まります。周囲の人が美味しそうに食べているのを見て、自分も食べてみようという気持ちになることがあります。また、大人になるにつれ、健康への関心が高まり、栄養バランスの取れた食事を意識するようになることも要因の一つです。
  • ホルモンバランスの変化: 成長期には、ホルモンバランスが大きく変化し、食欲が大きく増進することがあります。この時期には、様々な食材から栄養を摂取する必要もあるため、好き嫌いが減ることがあります。

 

好き嫌いを克服するためのヒント

 子供の偏食を気にかける親御さんとしては、好き嫌いを克服させるためには、焦らずにゆっくりと、根気強く取り組むことが大切と理解しておきましょう。

  • 食材への親近感を持たせる: スーパーの売り場などで食材に触れ、匂いを嗅ぎ、調理の過程を見ることで、食材への興味や関心が生まれます。普段食べている料理が、どのような食材から作られているのかを知ることで、食材への親近感が湧き、食べる意欲に繋がります。
  • 調理方法や味付けを工夫する: 嫌いな食材でも、調理方法や味付けを変えることで、食べられるようになることがあります。例えば、野菜炒めが苦手な場合は、細かく刻んでカレーに入れたり、グラタンに入れたりすると、食べやすくなることがあります。
  • 少しずつ試す: 嫌いな食材でも、一口だけでも食べてみるように促してみましょう。最初は抵抗があるかもしれませんが、少しずつ試していくうちに、食べられるようになることがあります。
  • 食卓の雰囲気を楽しくする: 一緒に食卓を囲む人たちがおいしそうに食事をすることで、子供の食への関心を高めることができます。無理に食べさせるのではなく、楽しい雰囲気の中で、自然と食べられるように促しましょう。
  • 料理体験をする: 子供が自分で料理を作る経験をすることで、食材への親近感や達成感が生まれ、好き嫌いの克服に繋がることがあります。簡単な料理から始め、徐々にステップアップしていくと良いでしょう。

 

好き嫌いがなくなると、どんないいことがあるの?

 好き嫌いが無くなると、心身の健康、食生活の豊かさ、そして人生の楽しみに繋がる多くの利点があります。ただ子供は、そうした重要性を知ったからといっても、すぐに食べるようにならないかもしれません。それでも成長するにつれて、頭の片隅にあった知識によって行動を変えてゆくことが期待できると考えます。

  • 栄養バランスの向上: 様々な食材から必要な栄養素を摂取できるようになり、健康的な体作りに貢献します。
  • 生活習慣病のリスク軽減: 偏った食生活は、高血圧、糖尿病、脂質異常症などの生活習慣病のリスクを高めます。好き嫌いをなくし、バランスの取れた食生活を送ることで、これらの疾患のリスクを軽減できます。 日本が世界有数の長寿国になれたのは、案外、昭和のお母さんが「何でも食べなさい!」と毎日いろいろな料理をしてくれていたおかげかもしれませんね。
  • 味覚の発達: 様々な味を経験することで、味覚が発達し、より繊細な味の違いを感じられるようになります。
  • 食の選択肢の拡大: 食べられる食材が増えることで、外食や旅行など、様々な場面で食の楽しみを味わうことができます。
  • 食文化への理解: 様々な食材や料理に触れることで、食文化への理解が深まります。
  • 料理の楽しみの増加: 様々な食材を使って料理ができるようになると、料理の幅が広がり、創造性を発揮できます。
  • コミュニケーションの円滑化: 食事は、家族や友人とのコミュニケーションを深める大切な機会です。好き嫌いが少ないことで、食事の場をより楽しむことができ、人間関係も円滑になります。
  • 新しい体験への積極性: 食に対する好奇心は、他の分野への好奇心にも繋がります。新しい食材や料理に挑戦することで、人生の可能性が広がり、より豊かな人生を送ることができます。
  • 心の豊かさ: 美味しいものを食べることは、心を豊かにし、幸福感を与えてくれます。

 

 食べ物の好き嫌いは、誰にでもあるものです。しかし、好き嫌いが多すぎると、栄養バランスが偏り、健康を害する可能性があります。好き嫌いを克服するためには、焦らずにゆっくりと、根気強く取り組むことが大切です。様々な食材や料理に挑戦し、食の楽しさを広げていきましょう。