AirLand-Battleの日記

思い付きや素朴な疑問、常識の整理など、特段のテーマを決めずに書いております。

レッテル張りに陥らないために

 世の中には就職・転職サービス会社による適性診断(SPIなど)やいろいろな心理テストが存在しますが、個人的にはどうも信用できないでいます。それらはみな、受けるその日の気分や(集中力などの)体調、問題文の出来不出来などによって大きく左右されるように見えるからです。

 人間というものはそれぞれ異なる色を持つ個性豊かな存在であることに間違いはありません。しかし実際には類似性や傾向のようなものはある程度認められるため、古くから人々は、その複雑で多様な人間性を理解する助けとして、様々な方法(適性診断や心理テスト)で分類を試みてきたものと考えられます。

 今回は多くの性格分類を一挙に眺めてみようと思います。そして俯瞰的な視点を得ることで、人間というものは多様な個性や性格があり、分類方法も多種存在することがわかることでしょう。したがって自らが知っている範囲だけで、自分や他人を安易に分析することは低レベルな「レッテル張り」になり易いということです。

 一歩譲って、自分のタイプを自分自身で知ろうとすることは、行動の動機や陥りやすいパターンを理解し、自己成長に繋げることができるかもしれません。また、他者のタイプを知ることで、多様性や不確実性を認めながらより共感的なコミュニケーションの助けになることもあるでしょう。しかしこうした分析は常に不確実なものとして慎重に向き合うようにしなければならないと考えています。

 

日本の文化に根付く「ABO血液型」分類

 日本では、会話のきっかけや自己紹介の話題としても親しまれている「ABO血液型」による性格分類。科学的な根拠は薄いとされながらも、以下のようなイメージが一般的に語られています。

  • A型:  几帳面で真面目、責任感が強く、協調性がある一方、神経質で心配性な面も。
  • B型:  マイペースで自由奔放、好奇心旺盛で楽観的。しかし、飽きっぽく、わがままな印象を持たれることも。
  • AB型:  冷静と情熱を併せ持ち、合理的で客観的。掴みどころがない、変わり者といったイメージも。
  • O型:  おおらかで社交的、リーダーシップがあり面倒見が良い。一方で、ルーズな面もあると言われます。

 

星が語る個性:「12星座」分類

 アメリカをはじめとする西洋占星術では、生まれた月に対応する12の星座が、その人の性格や運勢に影響を与えると信じられています。

  •  牡羊座(3/21~4/19):  リーダーシップと情熱の先駆者。
  •     牡牛座(4/20~5/20):  堅実で五感を大切にする。
  •     双子座(5/21~6/21):  知的好奇心旺盛なコミュニケーター。
  •     蟹座(6/22~7/22):  家庭的で感情豊かな世話好き。
  •     獅子座(7/23~8/22):  華やかで創造性豊かな表現者。
  •     乙女座(8/23~9/22):  分析力に優れた完璧主義者。
  •     天秤座(9/23~10/23):  調和を愛する美的センス。
  •     蠍座(10/24~11/21):  深い洞察力と強い絆を求める。
  •     射手座(11/22~12/21):  自由を愛する楽天家。
  •     山羊座(12/22~1/19):  責任感強く目標達成に邁進。
  •     水瓶座(1/20~2/18):  独創的で未来志向の博愛主義者。
  •     魚座(2/19~3/20):  感受性豊かでロマンチスト。

 

深層心理を探る羅針盤:「エニアグラム」9分類

 エニアグラムは、人間の性格を9つのタイプに分類し、それぞれのタイプが持つ基本的な欲求や恐れ、行動パターンを探る心理学的なツールです。(「9つの性格 エニアグラムで見つかる『本当の自分』と最良の人間関係」2004-01-06 鈴木秀子

  • タイプ1:改革する人:  正義感が強く、完璧主義で自己批判的。
  • タイプ2:助ける人:   温かく献身的で、人に尽くすことを喜びとする。
  • タイプ3:達成する人:  意欲的で有能、成功と認められることを重視する。
  • タイプ4:個性的な人:  感受性豊かで創造的、自分らしさを追求する。
  • タイプ5:研究する人:  知的好奇心が強く、知識や理解を求める。
  • タイプ6:忠実な人:   責任感が強く用心深く、安全と安定を求める。
  • タイプ7:熱中する人:  楽天的で活動的、新しい経験や可能性を追い求める。
  • タイプ8:挑戦する人:  自信に満ち支配的、自力で道を切り開くことを望む。
  • タイプ9:調停する人:  穏やかで受容的、平和と調和を大切にする。

 

個性を彩る16の色:「MBTI」16分類

 近年日本でも注目を集めているMBTIは、4つの二分化された指標(エネルギーの方向、情報の取り方、判断の仕方、外界への接し方)の組み合わせによって、16の性格タイプに分類します。それぞれのタイプは、独自の認知機能のパターンを持つとされます。

 

MBTIの16の性格タイプ

分析家 (Analysts)

    INTJ(建築家):  想像力豊かで戦略的思考の持ち主。

    INTP(論理学者):  知識欲旺盛な革新的発明家。

    ENTJ(指揮官):  強い意志と想像力を持つ指導者。

    ENTP(討論者):  賢く好奇心旺盛な知的挑戦者。

外交官 (Diplomats)

    INFJ(提唱者):  深い洞察力と強い信念を持つ理想家。

    INFP(仲介者):  控えめで情熱的な独創家。

    ENFJ(主人公):  カリスマ性があり人を導く調整役。

    ENFP(運動家):  自由奔放で社交的な刺激追求者。

番人 (Sentinels)

    ISTJ(管理者):  事実重視で現実的な信頼の柱。

    ISFJ(擁護者):  献身的で心の温かい守護者。

    ESTJ(幹部):  優秀な管理者で効率を重視。

    ESFJ(領事):  協調性高く周囲をサポート。

探検家 (Explorers)

    ISTP(巨匠):  柔軟で現実的、問題解決が得意。

    ISFP(冒険家):  感受性豊かで芸術的な自由人。

    ESTP(起業家):  行動力があり機会を見つける才能。

    ESFP(エンターテイナー):  社交的で周囲を魅了。

 

欲求のベクトル:「欲求の4タイプ」分類

 岡田斗司夫氏が提唱するこの分類は、人の欲求の方向性と認識の仕方によって、注目型、司令型、理想型、法則型の4つのタイプに分けられます。( 「人生の法則『欲求の4タイプ』で分かるあなたと他人」岡田斗司夫

  • 注目型:  人から注目され、好かれたい人気者。王様。
  • 司令型:  勝ち負け重視で人を動かすリーダー。軍人。
  • 理想型:  自分の理想やこだわりを追求。職人。
  • 法則型:  物事の仕組みを分析する探求者。学者。

 

心理テストで数値化:ビッグファイブ理論

 人間の性格を5つの主要な特性(因子)で説明しようとする心理学の理論です。この理論は、多くの研究によってその信頼性と妥当性が確立されており、世界中で比較的広く活用されています。

  • 開放性:  好奇心旺盛で新しいもの好きか、伝統を重んじる現実派か。
  • 誠実性:  真面目で計画的か、それともおおらかで柔軟か。
  • 外向性:  社交的で活動的か、一人を好む内向派か。
  • 協調性:  思いやりがあり協力的なのか、自己主張が強く競争的か。
  • 神経症的傾向:  ストレスに強く感情が安定しているか、不安を感じやすいか。

 

レッテル張りの危険性を超えて

 様々な性格分類を見てきましたが、大切なことは、これらはあくまで人間理解を深めるための「手がかり」であり、決して人を固定的な枠にはめ込む「レッテル」ではないということです。安易なレッテル張りは、個人の多様な側面を見えなくし、不当な判断や偏見、差別を生み出す可能性があります。

 私たちは皆、血液型、星座、エニアグラムのタイプ、MBTIのタイプ、欲求のタイプといった、たった一つの要素で語り尽くせるほど単純な存在ではありません。それぞれの人が、唯一無二の個性と、複雑な背景を持っています。

 性格分類を活かす上で最も重要なことは、「人はそれぞれ違う」という当たり前の事実を改めて認識し、その違いを尊重することです。分類は、自分自身や他者を理解するためのヒントを与えてくれますが、最終的には一人ひとりの個性に向き合い、その多様性を認め合うことが、より豊かな人間関係を築くための基本理解になるでしょう。

 それぞれの分類法を、自分自身と他者への理解を深めるための色とりどりの「色鉛筆」として捉え、その多様な色彩を楽しみながら、より多様で慎重なコミュニケーションを育んでいきましょう。