AirLand-Battleの日記

思い付きや素朴な疑問、常識の整理など、特段のテーマを決めずに書いております。

竜巻・突風への防災意識も高めましょう

 近年、私たちの住む日本で、これまであまり意識されてこなかった竜巻やダウンバーストといった激しい突風による被害が目立つようになってきたと感じています。家屋が倒壊したり、尊い命が失われたりする痛ましい事故も発生しており、「もはや他人事ではない」と感じている方も多いのではないでしょうか。

 今回は、気象庁のデータも交えながら、日本における突風被害の現状と、私たちが今からできる具体的な防災対策について、分かりやすく解説していきたいと思います。まるで「新しい災害」のように感じられる突風に、しっかりと目を向け、備えを固めていきましょう。

 

増加傾向にある日本の突風被害

 「最近、突風のニュースをよく聞くようになった気がするけど、本当に増えているの?」そう思われた方もいるかもしれません。気象庁の「竜巻等の突風データベース」によると、2007年以降、竜巻の年間確認数(海上竜巻を除く)は、1991年~2006年の年平均約8回と比較して、全体的に高い水準で推移していることが確認できます。

竜巻確認数(海上竜巻を除く)
2007  13
2008  20
2009  22
2010  16
2011  23
2012  27
2013  21
2014  17
2015   22
2016  21
2017  17
2018  24
2019  18
2020  16
2021  20
2022  25
2023  21
2024  18

(出典:気象庁「竜巻等の突風データベース」より作成)

 

 ただし、この背景には、2007年以降の観測体制の強化情報伝達の向上といった要因も大きく影響しています。気象庁も「突風被害が増加傾向にあることは認識していますが、その主な要因は観測体制の強化や情報伝達の向上によるものが大きいと考えています。」と説明しています。 つまりこれまで見過ごされてきた突風被害が、より詳細な調査や目撃情報の増加によって確認・認識されるようになったという側面も否定できません。

 しかし、データを見る限り、以前よりも突風が私たちの生活圏に近づき、被害をもたらす可能性が高まっていると捉えるべきでしょう。

 

竜巻大国アメリカの現状から学ぶこと

 竜巻といえば、アメリカ合衆国、特に「トルネード・アレー」と呼ばれる中央部の平原地帯での発生が非常に有名です。広大な平野という地理的な条件に加え、メキシコ湾からの暖かく湿った空気とロッキー山脈からの冷たく乾燥した空気の衝突が頻繁に起こるため、日本とは比較にならないほどの規模と頻度で竜巻が発生しています。(「オズの魔法使い」の話の中でも、トルネードで人が飛ばされていましたね。)

 アメリカでは、長年にわたり竜巻による甚大な被害を受けてきた経験から、予測技術や防災対策が日本よりも進んでいます。国立気象局(NWS)による竜巻注意報(発生しやすい気象条件)や竜巻警報(実際に発生またはレーダーで兆候を確認)の発表、地域住民によるストームスポッターの活動、そして頑丈なシェルターの普及など、社会全体で竜巻への備えが行われています。

 しかし、それでもなお、アメリカにおいても竜巻の正確な事前予測は非常に難しいのが現状です。竜巻は局地的かつ短時間で発生する現象であり、その発生場所や規模を事前に特定することは、最先端の科学技術をもってしても困難を極めます。竜巻警報が発表されても、実際に竜巻が発生する場所やタイミングは予測しきれないことが多く、常に人的被害のリスクが伴っています。

 このアメリカの状況からもわかるように、突風という自然現象の予測には限界があるということを、私たちは認識しておく必要があります。だからこそ、「まさか自分の住む地域では…」という油断を捨て、日頃からの備えが非常に重要になってくるのです。

 

竜巻・突風への具体的な備え

 それでは、私たち一人ひとりが今からできる具体的な防災対策について見ていきましょう。

1. 気象情報の確認を習慣に

 日頃から天気予報や気象庁の発表する注意報・警報に注意を払いましょう。特に、竜巻注意情報が発表された場合は、積乱雲が発達し、竜巻などの激しい突風が発生するおそれが高まっているサインです。テレビ、ラジオ、インターネット、スマートフォンのアプリなどを活用し、最新の情報を常に確認するように心がけてください。

2. 屋内での安全確保

  • 頑丈な建物へ避難:  竜巻注意情報や雷注意報などが発表されたら、できるだけ頑丈な建物の中で過ごすようにしましょう。
  • 窓から離れる:  突風は、強風とともに飛来物を伴うことが多く、窓ガラスが割れて怪我をする危険性があります。窓から離れた、できるだけ建物の中心に近い部屋に移動しましょう。
  • 雨戸やカーテンを閉める:  雨戸は飛来物から窓ガラスを守る最も有効な手段です。雨戸がない場合は、カーテンやブラインドを閉めて、万が一ガラスが割れた際の飛散を少しでも防ぎましょう。
  • 身を守る姿勢:  屋内で安全な場所に避難できない場合は、丈夫な机やテーブルの下に身を隠し、頭や首を腕などでしっかりと守る体勢を取りましょう。

3. 屋外での行動は控える

 竜巻注意情報が発表されている際は、不要不急の外出は控えましょう。もし屋外にいる場合は、以下の点に注意してください。

  • 建物へ避難:  近くに頑丈な建物があれば、直ちに避難しましょう。
  • 低い場所に身を伏せる:  周囲に建物がない場合は、くぼ地や溝など、低い場所に身を伏せて、頭や首を守りましょう。
  • 電柱や樹木から離れる:  強風で倒壊する危険性があります。
  • 自動車の中は危険:  自動車は比較的風に弱く、横転する危険性もあります。できるだけ建物に避難しましょう。やむを得ず車内にいる場合は、身を低くして頭を守ってください。

4. 避難場所と連絡手段の確認

 家族や地域で、竜巻発生時の避難場所や連絡を取り合う方法を事前に話し合っておきましょう。地域の防災マップなどを確認し、近くの避難場所(公民館や学校など、比較的頑丈な建物)を確認しておくと安心です。

5. 非常用持ち出し袋の準備

 万が一の避難に備えて、非常用持ち出し袋を準備しておきましょう。懐中電灯、ラジオ(電池式)、食料、水、救急用品、貴重品などをリュックサックなどに入れて、すぐに持ち出せる場所に保管しておきましょう。

6. 地域の防災訓練への参加

 自治体や地域で行われる防災訓練には積極的に参加し、避難経路や避難場所、緊急時の行動などを実際に体験しておくことが大切です。

 

「新しい災害」への意識改革を

 これまで日本では、竜巻や激しい突風は、ごく一部の地域で稀に発生する自然現象という認識が強かったかもしれません。しかし、気候変動の影響も指摘される現代において、突風は決して他人事ではありません。今回ご紹介した気象庁のデータやアメリカの事例からもわかるように、私たちはもっと積極的に突風への防災意識を高め、具体的な対策を講じる必要があります。

 「備えあれば憂いなし」という言葉があるように、日頃からのちょっとした準備と心構えが、いざという時に私たち自身と大切な人を守る力となります。この機会にぜひ、ご家庭や地域で突風への対策を見直し、安全で安心な暮らしを守っていきましょう。