正月三が日にニューイヤー駅伝(全日本実業団対抗駅伝大会)や箱根駅伝(東京箱根間往復大学駅伝競走)を見て過ごす人は、テレビ離れの昨今にあってもまだまだ多いのではないでしょうか。沿道で応援している人も非常に多く、参加している企業や大学の関係者でなくとも一流ランナーの集団そして走行フォームを実際に間近で見るというのは何か感じるものがありそうです。
ただ、ずっと昔から個人的に不満を感じているのが、中継所やゴールでタスキを渡したランナーが路面に倒れ込んでしまった場合の関係者の応対が、非常に雑であるという点です。
日本陸上競技連盟駅伝競走規準(2015年3月修改正)の「第6条 中継」の中で「2. たすきを受け取る走者は、前走者の区域(中継線の手前の走路)に入ってはならない。また、たすきを渡した走者は直ちにコース外に出なければならない。」と定められているため、タスキを渡した走者がコース内の路面で倒れているというのは厳密には違反行為になるはずです。ともかく完走した走者なので、同じチームの人員が介助しても問題は無いはずですが、多くの場合、大会運営者と思しき係員が走者に大判のタオルを掛けて、立ち上がって退くように少しの距離を支えて歩く程度のことしかしていません。
路面に倒れているということは死力を尽くして走りきったということですから、独力で「直ちにコース外に出」るのが無理なのは明らかです。こういう場合を想定して、同じチームの人員を中継所やゴールに3人程度を配置しておき、走ってきた走者をそのまま正面から抱き止めるか、路面に倒れた走者を優しく複数で抱え上げるくらいの対応は可能に思えます。
(こうした介助要員については、ルールに該当する規定を追加する必要はあるでしょう。)
あるいは中継所やゴールに、走り高跳びなどで使用する大きなクッションを設置しておき、そこに倒れ込むように指示しておけば、路面に倒れ込むよりは安全でしょう。もちろんクッションはコースの邪魔にならないように中継線やゴールラインを過ぎた左右(特に右)の路肩に設置すれば良いと思います。
また、ニューイヤー駅伝も箱根駅伝も見ている限り、いずれのレースでも道路の左側を走行するようなコースにしていたはずです。このためなのか、中継所やゴールでは複数の走者が続けざまに到着することがあり、タスキの受け渡しの際に交錯や衝突することの無いように走者も運営係員も注意しているようです。例えばこれも中継線やゴールラインを過ぎた右側に十分な空きスペースを確保しておけば、倒れ込む走者もクールダウンで歩く走者もそのスペース(すなわちコース外)で安全に退避できますので、運営面でもより円滑になるのではないでしょうか?
それにしても日本のスポーツ界に対しては、長距離走に限らず安全対策の不備が指摘されることがたびたびあるように感じられます。協会の代表や幹部はいったい何に注力しているのでしょうか。