簡易的別荘(セカンドハウス)保有の可能性

 日本は地震や台風などの自然災害が頻繁に発生する国であり、これらの大規模災害時の避難先が手狭になったり長期滞留になったりすることが少なくありません。その生活実態たるや海外の難民キャンプよりも低いのではないかという印象です。そのための対策ないし準備のひとつとして、別荘(セカンドハウス)の保有推進が検討されるべきではないでしょうか。これはひとり単なる災害対策としてではなく、日本国民の生活の豊かさを増進させる手段としても重要な役割を果たせるかもしれないと考えます。

 

A) 災害時の避難先不足への対策

 日本では大地震や台風、洪水が頻発し、避難所が手狭になることが多いという現実があります。このような状況下で別荘が災害時の避難先として活用することができれば、安全かつ快適な生活空間を提供できる可能性があります。別荘であればプライバシーも問題なく確保できますし、別荘を保有していない人々を大型施設(学校や公民館)で収容するにも余裕が生まれ、避難生活の質が向上できるでしょう。

 ただし食料や燃料、生活雑貨といった物資の配給については、大型施設に集まっていたほうが好都合という面があるでしょう。この点は考慮事項として追加的な配給方法を設定しておかなくてはなりません。

 

B) 生活の豊かさの向上

 別荘は単なる避難先だけでなく、日本国民の生活の豊かさを増進させる一法としても評価できるかもしれません。都市での喧騒やストレスから離れ、別荘での避暑やレジャーを通じてリフレッシュすることは、精神的な健康を促進します。これが働く人々の生活の質を向上させ、仕事に対するモチベーションも向上できそうです。

 

C) 住環境の改善への期待

 既存の住宅を増改築して広くすることは困難な場合が多く、これに代わる手段として別荘の保有が考えられます。自家用車を置くガレージやカラオケのできる防音室、日曜大工のできる工作室なども実現の可能性が高くなるでしょう。

 近年の日本経済のデフレーションの背景のひとつとして、モノ余りが挙げられますが、この点への景気対策として、新たな家具や追加的な設備の購入(消費拡大)につながる別荘保有が期待できるのではないでしょうか。

 

D) 国際的な事例からの学び

 世界的に見ても、ロシアのダーチャやドイツのクラインガルテンのように、予備的な生活拠点を持つ文化があることが知られています。(モンゴル遊牧民のパオないしゲルや北極圏イヌイットのイグルーなどといった移動式の住居文化も面白そうであり、最近の日本で「車中泊」を楽しむ人もいますが、ここでは触れません。)これらの事例を参考にすれば、別荘を持つことが住環境の改善に資する可能性があることの理解が得られるでしょう。

 また、アメリカの映画の中でもトレーラーハウスやヨットに(これらは予備や避難ではなく日常生活として)住んでいる例を見たことはないでしょうか?これからすると、決して高所得者の遊び場としての別荘だけでなく、安価に入手できる住居の存在は生活様式の選択肢となることも期待できそうです。

 

E) 人口減少への対策としての小型別荘の普及

 日本(特に地方)の人口減少が進む中で、安価で手軽に入手可能な小型別荘の普及が政策のひとつとして考えられないでしょうか?これにより、自家用車と同程度のコストで庶民が別荘を所有し、都市の喧騒から離れた生活を楽しむことが可能となります。このような取り組みは、人口減少に伴う地域の経済低迷や、都市への人口集中を緩和する効果も期待できそうです。

 総じて、日本において別荘の保有は、災害時の避難先確保だけでなく、国民の生活の豊かさを増進させ、住環境の改善にも寄与する可能性があります。国内外の成功事例を参考にし、地域ごとのニーズに合った施策を検討すること、固定資産税の優遇措置や空き家問題までも考慮することなどが重要でしょう。