毎回のことですが、今回は特に個人的な指向を開陳いたします。それは何か日用品を購入する際に、本皮(天然皮革)を使ったものはなるべく避けましょうということです。特にファッションに気を使わないビジネスマンの方もベルトや靴、財布、カバンなどは期せずして本皮製のものばかりを選んでしまっていないでしょうか?そもそもこうした日用品は店頭に並んでいるもののほとんどが本皮製なので、それ以外の選択肢が狭いというのも実情です。
なお「毛皮」製品に対しては、動物愛護の観点から毛皮(リアル・ファー)反対運動が近年になって世界的な広がりを見せています。しかし毛皮製品というのは基本的に贅沢品なので、選ばないし買わないというのも自然な選択になるので、個人的には重大事ではありません。
本皮製品を避けることをお勧めする理由は、とにかく劣化の危険を無視できないという点です。しばらく使わないで置いておくと表面にカビが生えたり、細かい亀裂がはいって固くなったりということで必ず泣くことになります。高級ブランド品ならば加工(なめし)が特別になって長持ちするのかというと、そんなこともありません。やはり本皮製品が作られるようになったヨーロッパの大半の地域に比べると、日本の気候は湿度が高いために本皮製品の使用・保管にそもそも適さないのでしょう。(急な雨に降られたときの本皮製カバンなんて、かなり惨めなものですよね。)
専用クリーナーかクリームなどで何らかの手入れをすることで、劣化をある程度は低減できるのかもしれませんが、これはかなり技術と手間を要求されることになります。まぁ、野球のグローブやサッカーのスパイク・シューズなどであれば、日用品を超えた大事な道具として手入れにも流石に意欲が湧くに違いありません。
カビやヒビ割れ以外の表面劣化、例えばツヤや退色、小さな傷については、「エイジング」と呼んで愛着を増す人もいるようですが、そうなる前に駄目にしてしまう危険を無視できません。
「数ヶ月で駄目になってしまっても納得できるか?」「必要な手入れをこまめにかけられるか?」「合成皮革でもほとんど同じでは?」といった質問を商品選択時に自分自身に投げ掛けてみるようにしたいものです。
なお最近の紳士向けの靴では、合成皮革製の選択肢が広がっている印象です。カバンも男性ビジネスマン向けのものは、黒色の合成繊維製が主流になっています。紳士向けのベルトだけは、ほとんど本皮製ですが、合成皮革や編込みのものが見られます。
ビジネスマンとはTPOが異なりますが、アメリカ陸軍の兵士が履くブーツも現在は本皮製でなく合成繊維製に入れ替わっているそうです。やはり合理性を追求すると、本皮製は選ばれなくなる時代なのだと感じます。